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気の向くまま、思うがままの行動記録ですよ。
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    そんなわけでようやっと書き上げましたよ、ラビアレなう。
    ツイッターであげたものと、おまけでブックマンとアレンのお話もです。

    ……むしろブックマンとアレンがメインなくらいに力入れていてすみません。大好きだ。





    木枯らしが吹き始めた窓の外。同じ位寒い廃墟の中、陰る月を見上げた。
    ……ああ、早くホームに帰りたい。
    きっとみたらしを山のように頬張りながら、そわそわと同じ月を見上げているだろう月色の少年を思う。
    ………大丈夫この程度のAKUMA、君の祈りより早く破壊して、君の元に帰ろう。(24.11.11)

    いつか僕があなた達の枷となるなら、どうぞ切り捨ててください。僕は僕の選んだ道以外では生きれませんから。
    ……そう微笑み告げる白い子供に溜め息が出る。
    どこまでも潔く自身で背負うしか知らない子供。馬鹿弟子の凹んだ背中を脳裏に浮かべ、また溜め息が出た。(ブックマンサイド)

    自室のベッドの上、膝を抱えて窓を見上げた。
    煌煌と照る真円の月。
    ほうと落ちた吐息は真っ白に色づいた。寒そう、と悪戯っぽく笑って包む腕はない。ぶるり、小さく震えれば金の羽が優しく手のひらを撫でた。
    大丈夫と笑みを落とし、存外心配性のゴーレムを撫でる。
    早く太陽が昇ればいいのに。日差し色の髪を風に嬲られながら、少しぼろぼろの格好で、屈託なく笑って、ただいま、の一言を言ってほしい。
    ………ああ、早く日が昇ればいいのにと、小さく呟く声もまた、真っ白な吐息に変わった。(24.11.12)

    視野には暗闇と仄光。
    そこここには硝煙、瓦礫、未曾有の呻きの混じる静謐の空間。
    鉄臭いオイルの臭いが鼻を掠める。
    目を逸らしようもなく破壊の爪痕が広がる。その中に鎖に繋がれた魂は見えない。
    ぎゅうとイノセンスを掴む。もしもここに真っ白な少年がいたなら。
    彼は遣る瀬なく、けれど優しく微笑むのだろう。救われた悲しみの魂の為に。
    ………それはあるいは歪な慈悲だろう。が、どこまでも透明なままの純正の祈りだ。
    思い、辺りを見回した。
    未だ暗い中、すでに満月はない。
    沈んだ明かりに頼らずとも隻眼はその光景を写しとる。……欠片も違わず記録して、そっと落とされた瞼の奥、翡翠は惑うように記録を辿る。
    愛しきものを見つめ祈るように優しい世界を願う銀灰の瞳を見出だし、ほぅと息を落とした。
    早く帰りたかった。
    …………帰る場所など持ち得る筈もない身で、それでも一際強く、願った。(24.11.13)
     
     
    頬を朝日が擽った。
    ついでのように金の羽が鼻先を撫でる。クスクスと小さく笑い、微睡みを引き摺る銀灰はほころぶように開いた。
    満足げなゴーレムがぽてんと枕元に舞い落ちる。
    指先で撫でたあと起き上がれば、何やら部屋の外、けれど教団内のどこかが騒がしかった。が、けして悪い雰囲気ではない。
    むしろ明るく弾けた声は喜びに染まっている。
    ……もしかして帰ってきたのだろうか。
    思い、ドアを目指しかけた足先を嗜めるように、未だ寝巻きの少年の袖をゴーレムは噛みついて留めた。
    目を瞬かせながらも気の急いた自分の所作に少年は苦笑を落とし、もう一度ベッドサイドへ戻った。
    今度こそ着替えをして、あの明るい声の輪に駆け寄る為に。……見上げた窓の外は明るい日差しが微笑んでいた。(24.11.14)

    「お帰り!」
    「ぼろぼろだな、お前」
    「室長今逃走中だから報告あとで平気だよ〜」
    ホームに戻ればあちらこちらからねぎらいの声が響く。
    驚くくらい、ここの人間は同じ輪の中に生きるものを大切にする。それらに手を振り笑顔を向け、少し早足で先を進む。
    夜通しでのAKUMAとのダンスは流石に疲労を覚えた。が、それでもそのまま探索部隊に後始末を任せとんぼ返りをしたのだ。
    師の呆れた顔を脳裏に思い出しながら、隻眼を細めて苦笑する。
    それでもあの老人は、止める事なく共にここに帰ってきたのだ。その理由を思い、青年は駆け出しそうな足を押し止め、廊下を曲がる。
    未だ廊下に日は入り込まず、少し暗い。
    傍らにぬくもりがひとつあるだけで仄かに明るい通り道が嘘のようだとクツリ苦笑する。………この先の部屋にいる筈の真っ白な少年の声を早く聞きたかった。(24.11.15)

    リボンタイも結び終え、寝癖は手櫛で整えて、ようやくゴーレムの許しを受けた少年はドアに手をかけた。
    同時に、こん、と軽い音が響く。
    目を瞬かせ、ゴーレムと顔を見合わせる。………零れ落ちたのは、喜色の笑み。
    さあ、ドアを開けよう。きっとぼろぼろなままの青年に、なんと声をかけようか。
    お疲れさま!
    怪我はありませんか?
    イノセンスはありましたか?
    数々の言葉が脳裏を巡る。それでもドアを開け、思った通りにあちらこちらに擦り傷を負った青年が屈託なく翡翠を細めて笑う様を映せば、銀灰は煌やかに細められて笑みを彩り、何よりも初めに、彼を言祝ぐように告げた。(24.11.17)

    軽やかに叩いた少年の部屋のドア。
    驚く程すぐに開いたその先で、朝日を背に、真っ白に輝く少年が笑っていた。
    「おかえりなさい、ラビ」
    ふわり、朝露よりなお清楚に微笑み、涼やかな声が疲弊した身体を癒すように鼓膜に響く。
    じんわりと、その声が鼓膜を震わせ、身体に響く。瞬きすら惜しみ、その姿を記録した。
    ……否、記憶、した。
    こここそがあなたの帰る場所なのだと教えてくれる彩りに笑んで、耐え性もなく腕を伸ばした。
    「ただいまさ♪」
    軽快な声で答えて与えたハグの中、いたわる指先がそっと背中を暖めた。

    ……やっと、帰りたい場所に帰ってこれたと、音には出来ない喜びを胸に刻んだ。(24.11.17)


    [newpage]


     「ブックマン、お帰りなさい」
     廊下を歩いていると不意にそんな声をかけられた。
     目を向けるまでもなく脳裏にその像を描き、老人は振り返る。……思った通りに真っ白な髪を揺らしながら駆け寄る足音を響かせながら少年が笑んでいた。
     それにほころびかけた唇をそっと飲み込み、老人が頷く。
     「ああ、ただいま。……どうした、小僧」
     同時に、隈取りの奥、鋭い眼差しが微かに細められた。その声は僅かに訝しさを滲ませて響き、少年はこてんと首を傾げる。
     どうした、といわれるような事があったかと一瞬考える。が、特に心当たりがなかった。ただ先程帰還した青年と挨拶を交わし、彼が風呂に行っている間に軽く朝食を済ませて、戻ってきた彼とお茶を飲む予定だった。
     その自室に一度戻ろうかと足を向けたところに老人を見かけ、彼にもまた、帰還の喜びを伝えようと思った。多分、どこにも老人が訝しむような要素はない筈だ。
     「え?」
     困ったように小さく問う声を落とせば、ゆるり、老人が吐息を落とす。嗜めるよりは、気付いていない事を知っていたような、そんな静かな見守る眼差しが向けられる。
     「クマが出来ておる。眠れなかったのか」
     じっと見上げる眼差しが、優しい。……老人にそういったなら勘違いを嗜める声が向けられるだろう。けれどやはり向けられた眼差しに秘められたいたわりは嬉しくて、ほわり、少年は滲むように微笑みを浮かべた。
     「………少し、月見をしていました。昨夜は満月だったんですよ」
     少し照れくさそうに、昨夜の月を浮かべた銀灰が柔和に細められた。どこかそれは昨夜の月の澄みやかさと静けさに似ている。思い、微かに老人の眼差しが眇められた。
     「ああ、美しい真円だったな」
     「ブックマンも見ていたんですか?」
     こくり頷き同意する老人に、驚いたように少年は目を丸めた。
     彼ら師弟はイノセンスの情報とブックマンの本業とがちょうど近いという事で少し長く教団を離れていた。そうして昨夜の通信で、ようやくAKUMAを発見、および怪異の解明が終わった事が報告された。……残念ながら、今回もイノセンスは外れだった。
     ただ、そんな昨夜の通信の状況や先程会った青年の状態を鑑みたなら、昨夜自分が月を見上げた頃に彼らが悠長に空を見る暇があったとは思えなかった。
     かといって彼らに限って記憶違いというものはあり得ない。一体この差異は何だろうと瞬く銀灰から、そっと老人は目を逸らすようにして睫毛を落とす。
     「戦闘のただ中だったが、視野には入り込んだ。記録に残っておる」
     事実は事実だ。それを語る事に躊躇う筈はない。が、同時に、その眼差しに写し取ったならば消える事がない、それもまた事実だ。故に、老人は瞬きのあとに晒されるだろう情景を写し取る事を避けた。弟子のように情が移ってはいけない。ここはあくまでも仮初めの宿だ。それを忘れては自分達一族の在る意味が薄れてしまう。
     呟きに……微かに飲み込まれた吐息。それを耳に刻み、老人は再びその眼差しを少年に向けた。
     真っ白な前髪の奥、銀灰は柔らかく微笑んでいる。………ほんの微か、その眉を垂らすようにしながら。
     困った子供だと老人は内心溜め息を落とす。解って、いるのだ、彼は。自分達が渡り鳥である事を。決してここに留まり続けない事を。そうして、それが故にある境界線を。こうして自分が告げる言葉の中、それを知らしめるように落とすものがある事もまた、知っているのだ。
     そうして、それら全てを受け入れて、その上で……愛おしむのだ。
     なんて厄介で美しい、生き物だろう。そう思わずにはいられない、ただ捧げる事だけを覚えてしまった透明の眼差しが老人を映す。
     「……そう、ですか…あの、でも、………今夜、月見をしませんか?」
     「月見?」
     月は欠け始めている。昨夜が満月で、欠けるばかりの月を眺める風習が初年の生きた地域にあったとも思えず、不可解そうに老人は片眉を顰めるかのように眼差しを眇めた。
     それに少し慌てたようにパン、と少年は両手を合わせ、勢いをつけるように口を開く。
     「はい。あ、ラビも呼びましょう。ジェリーさんに頼んで、月見団子とか飲茶の準備もしてもらいましょう!僕、中国茶の淹れ方、覚えたんですよ。工夫式で!」
     息次ぐ間もなく思いつくままに少年の声が流れる。少し混乱しているのか、視線が固定していて笑顔がぎこちない。
     じっとそれを見上げ、仕方がなさそうに老人は解りやすい吐息を落とした。
     「…………アレン、気遣いは無用だ」
     美しいものを美しいまま見上げる時間すらない。それは何もブックマンという職にあるからではないだろう。それはおそらくはエクソシストであれば誰もが背負うもの。そして、エクソシストでなくともこの教団に関わるものであれば、少なからず背負うものだ。
     実際の時間の有無ではない。それは、心のゆとりの有無。
     …………ただそこにある、それだけのものを見上げ美しいものを愛でる事は、人を慰める。そのひと時を得られるかどうかで心の平安は多少なりとも変わる。
     だからどうかと、ささやかな我が儘に混じり祈る、その対象が自分達である事があまりに皮肉だと嘲笑える筈もなく、老人はただ静かに自分達の為に砕く心は不要だと告げる。
     彼が彼の為、使う時間はこの先も少なくなる一方だろう。その最中、誰かの為にばかり与えていては少年の平穏が消えてしまう。
     それでは何の意味もない事だと戒める眼差しの優しさに、ふわり、少年が微笑んだ。
     「僕が、あなた達と見たいと思ったんです。あ、でも、忙しいとか、用があるなら勿論」
     決してあなた達だけの為ではないのだと、ともにいたいのだと、ささやかに願う声。それがようやく紡がれる事を覚えた他者への我が儘であるならば、どれ程いとけない事だろう。
     ……それが躊躇いと遠慮に掻き消されるより早く、老人は緩く首を振り、微かにその皺の刻まれた唇を笑みに染めた。
     「飲茶は儂から頼んでおこう。夕食のあと…そうだな、8時過ぎるかもしれんが」
     微かな思案とともに告げる言葉は、おそらくはこのあと彼らがこなさなくてはいけない記録や記述を慮ってだろう。そうして……それらののち、ようやく空く時間を、与えてくれるとそれは約してくれる声。
     「……いいん、ですか?」
     驚いたように目を瞬かせ、少年は少しだけ不安そうに呟く。
     一緒に見たいと思ったのは本当だ。自分が見上げた美しい真円。彼らが視野に含めたであろう真円は同じでも、そこに醸される情があまりにも違う。
     だから、出来る事ならば凄惨さを映し刻む事の多いその眼差しに、ただ穏やかな時間に浮かぶ白銀を映してほしかった。……それは、おそらくはただの自分のエゴであり、我が儘だ。
     それなのに、と躊躇うような声に、にやり、老人が笑う。
     「気遣いは無用だ」
     「ブックマン?」
     「たまには記録とは無関係に愛でる事も必要だ」
     瞬く銀灰にからかうような軽やかな声が返される。そのままひらり、老人は背を翻し廊下を歩み始める。
     その背中を、見つめる。小さい筈なのに、そう思う事など一度もない、その背を。
     ぎゅうと手のひらを握り締め、溢れそうな呼気を閉じ込めるように戦慄く唇を引き結び。………すっと、少年は頭を下げて小さく、本当に微かにその唇を震わせる事も躊躇いながら呟く。
     「……………ありがとう、ございます」
     どんな感謝の言葉を、彼に捧げればいいのかは解らない。
     言葉をあまり知らない少年にとって、感謝を示す言葉はこれ以外、解らない。
     だから綴った言葉。零れそうな雫を銀灰の奥に閉じ込めて、老人が零してくれる足音が消えるまでただ頭を下げ、耐えていた。


     記録の対象にしかならないだろう自分といる時間。

     ……それすらも、愛でる時間であり、ただともにいるだけの時間だと告げてくれる人。




     時の破壊者でも、14番目でも、奏者の資格の保有者でも、ノアでも、なく。



     ただのアレン・ウォーカーと時間を過ごす。






     それを願ってくれた老人の背中は、幼い日におぶられた愛しい背中に少しだけ、似ていた。

     

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