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気の向くまま、思うがままの行動記録ですよ。
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    短文連載4

     最近ブックマンを書くと落ち着きますよ。
    いや、それはD灰書き初めからですが。
    やっぱりご高齢者を思うとほっこらするなー。立場的に全く本人はほっこら出来ませんがね。それがブックマン。

    そういや。最近過去小説を読んでいて思いましたが。
    アーミン系は家にいる事が少ないのに、D灰は室内ばっかですね。そのせいで情景を書く事がほとんどありませんよ、D灰。
    私は夜とか月とかの情景を書くのが好きなので、なおの事子供達だと書けないんですがね。夜は寝とけ、成長期。
    しかし、なんでこうも外に出歩かないかなーとか思うと。至ってシンプルな理由に思い当たります。
    …………兎が初対面のアレンに、「人間は伯爵の味方に見えちまう」って言っていたせいですよ。
    教団以外の場所じゃ、気も抜けないのか、近付く相手全部殺すつもりでいなきゃいかんのか。そんな殺伐とした中でのほほんっとしたお話書けるかー!!!
    とか、ね☆
    あの兎の発言のせいで、すっかりエクソシストは外出歩かせないようにしちゃっているよ、私の脳は。
    でもちょっとくらいは色んな事、楽しんで生きてほしいですよ。
    原作沿いじゃ無理でも、現代パロやカフェ物語で何か書きたいな………(遠い目)
    うん、幸せに笑っている子供って、見ていてこっちも幸せになれるよね。そうあっておくれ。

    って話がかなり連載から逸れましたが。
    何はともあれ短文連載!
    ブックマン師弟がアレンの事話しているお話ですよー。





      分厚い紙の束を片側に置き、青年は真っ白なその紙にすらすらと文字を記入していく。英語ではないその文字は、依頼主の国の言葉だった。

     「民族紛争から領地争い、革命に至る経緯、ねぇ……」

     呟き、つまらなそうに息を吐き出す。いつだって記述を頼まれるのは血生臭い戦史だ。

     その裏に潜む真実をもとに、未来を掴もうという健気さならばまだいじらしいが、これはきっと無駄な争いを捩じ伏せるための、強者の切り札になるだけだろう。

     「表の歴史と合わせて記述しろ。偏るなよ」

     「解っていマス。しっかし、これ系なら、あんまアレンに見せらんないさー」

     もっと優しく愛おしい記録とてあるというのに、そんなものは見向きもされないのが現実だ。

     そんなとるにたらないものを綴ったなら、きっとほころぶ笑みを知るだけに、この凄惨な文字の羅列は到底見せられる代物ではなかった。

     「見せるな馬鹿者」

     軽い溜め息の呟きに、即切り返してきた老人のその声の鋭さ。それに、青年は目を瞬かせた。

     ………それは、ブックマンとしての、声だ。

     別に、自分とて裏歴史を披露するつもりはない。ただ、勉強をした事のない少年に、知識という目に見えぬ力を与えたいだけだ。

     それは自分だけでなく、老人とて考えている事だろう。それなのに何を今更と、片眉を上げた。

     「なんさ、ジジイだってたまに見せてる癖に」

     老人の二番煎じはつまらないが、きっと楽しい話なら喜んで耳を傾けてくれるだろう。

     自分がその時間をもらっても問題はない筈だと軽く睨んでみれば、老人は下らないと言いたげな嘆息を落とした。

     「阿呆。あれはあやつ用に編纂したものだ。依頼物ではない」

     あっさりと切って捨てたその解答に、青年は思わず胡乱な眼差しを向けてしまった。

     「………ジジイ、アレンの事気に入りすぎ」

     自分以上に本職では忙しい癖に、どこにそんなものを用意する余裕があるというのだろうか。

     本当にこの老人は、自分にすら底が知れなかった。

     「お前に言われるほどひどくないわい。さっさと手を動かせ」

     「動かしてるし!あー早くアレン来ないかなぁ。つまんないさぁ」

     話している間とて、一瞬たりとも止まっていない。文句を言うようにむくれてみせれば、呆れたような溜め息が返ってきた。

     「仕事せんと追い返すぞ」

     「ちゃんとします。アレンに叱られるさ」

     まるで少年がご褒美のようだと思い、青年はクツリと笑った。………ある意味、間違ってはいないのだから。

     「アレン、真面目だからなー」

     そんな彼に疎まれたくはないと思う時点で、老人の思う壺だろう。

     彼と一緒にいたいなら、自分が成すべき事を成さなければいけない。

     ………そうでなくては、少年こそが一歩退き消えてしまうのだから。

     「少しは見習え」

     「んー、でもさ、アレンは俺みたいに、息抜きする事、覚えるといいさ」

     「あやつは生き急ぎすぎる」

     微かな溜め息を隠すように響く嗄れた老人の囁き。

     それを記録しながら、青年はさらさらと淀みなく必要な記述を書き込んでいく。

     「生きる喜びを理解しながら、消える事に焦がれおる。厄介な話だ」

     どちらも手放しがたく、表裏一体の願望である事は、生きる限りは仕方がない。が、少年のそれは、少々根深かった。

     「……アレンはさ、自分が生きていること、罰にでも感じてんのかね」

     「………………」

     「少なくとも、エクソシストも俺らも、あいつが笑うの、好きなんに」

     もっと気楽に生きられればいいのに。あまりに背負うものが大きく、そして多すぎる少年に向ける溜め息は尽きない。

     「見据えるものの違いだ」

     それを見つめるシワの寄った唇から、そっと……玲瓏な声が響く。

     記録者足る、声だ。静かな室内に木霊す事もなく、それは落ちて消える。

     「今までの記録対象と、同じようにな」

     その様を眺めたあと、青年は再び紙面へと眼差しを落とした。

     「へーへー、解ってます。でも、あんただって同じさ」

     自分が彼を乞うように。その命が消える事を惜しんでいる。

     さらりと何気ない風に呟いて、そっと師の気配を負う。微かにさえ揺れないのは、自分にすら読み取らせない師の偉大さだ。が、きっと、ここにあの少年がいたなら、微笑む事だろう。

     「何がだ」

     冷たく響くその声の中、和らぎを見出し、慈しみを喜ぶ少年の感性を、羨むべきか悲しむべきか、解らない。解らないけれど、その美しさをたたえたいと思うのだ。

     「さあ?なんでしょう」

     睨む老人の眼差しをへらりと躱し、青年は小さく笑んでペンを走らせた。

     「……下らん事を言っておらんでさっさと終わらせろ」

     呟き、師は顔を逸らすように手にした本に眼差しを落とした。

     ほんの微か、その隈取りの奥に揺れる光が読み取れた気がして、青年はこっそりと笑む。

     師と少年は仲が良くて妬けるけれど。それでもいらない詮索をして、老人の鋭さを少年に向けさせようとは思わない。

     小さく解らぬように、溜め息の中に混じる師弟共有の慈しみ。

     出来るなら独占したい、けれど。そっと目蓋を落とし脳裏に浮かぶ真っ白な花を青年は思う。

     

     ………………少年が愛しまれるなら、きっと何よりなのだと………。

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