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気の向くまま、思うがままの行動記録ですよ。
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    短文連載3

    短い筈。まだ大丈夫、短い筈ですよ………!

    緩やかに書き込み量が増えていく。でも通常キャラが増えればその分文章が長くなるのに、今回は押さえたよ!
    でも書き込みたい部分が山のように………!
    多分、そう言動が想像内で補完出来ない程削除はしていないと思うのだけど。
    やっぱり短文は難しい。絶対ツイッターとか向かないよね、私。
    むしろ140字で何を書けるのかって、なにも書けませんよ。会話文だけでも1000文字超えるわ。

    そんな先行き不安定丸出しな短文連載第3弾。
    私が食べたいタルトとともにお届けでーす。

    もうちょっとしたら桃が出回るかな…………!←桃大好き。




     ちょとした騒ぎを扉の前で起こしていた師弟は、ようやく二人揃って室内に入ってきてくれた。
    思いの外早かったと、沸かしたての湯が入れられたポットの時間を計りながら、少年はテーブルに二人を招いた。
    そそくさと青年はすぐに先程まで座っていた椅子に腰を下ろし、紅茶を淹れている少年に笑いかけた。……どうらなんとか許可はもぎ取れたらしい。
    「………やはりここにいおったか」
    そんな青年に老人が溜め息より鋭い吐息と共に呟けば、バツが悪そうに青年は視線を逸らせた。
    つい先程蹴られた背中はまだ痛い。もっとも、この程度で今ここにいる事と、あとで少年が来る事を容認されたのならば、かなり軽い代償だ。
    思い、下手につつくまいと沈黙を守った青年に代わり、少年が首を傾げた。
    「え、何か言いましたか、ブックマン?」
    「何でもない、気にするな」
    「?あ、ブックマン、叱るのはケーキのあとでお願いしますね?」
    この時間だけはお目こぼしをしてくれる約束を交わしてくれた老人に、困ったような顔で少年が呟く。
    それに嘆息しそうだった老人は、腹に力を籠めて耐え、彼が気に止まぬよういつも通りの飄々さで青年の横に座った。
    「解っておる。まったく、朝っぱらからお主には迷惑をかけたな」
    「いいえ、気にしないで下さい」
    いたわりの声に少年は愛想よく笑んで返し、手にしたポットから紅茶を注いだ。
    柔らかな湯気にほころぶ少年の口許を見つめたあと、青年は隣に座る老人を軽く睨んで見遣る。
    「俺とアレンの事さ。ジジイが迷惑いうなっての」
    あっさり自分の行動を予測された青年は、面白くなさそうに唇を尖らせている。
    その物言いに、老人が視線を向けるより早く、少年がピシャリとした声を響かせた。
    「ラビ!ブックマンに迷惑かけたのはラビですよ!」
    それなのにその言い様はおかしいと叱る声に、微かに肩を竦めながら青年は戯けるように少年を見上げた。
    「………アレン、母ちゃんみたいさ……」
    「ケーキ、いらないみたいですね、ラビ」
    「ウソウソ!冗談さ!」
    途端に出現した黒い笑顔に青年は慌てて返すが、少年は鉄壁の微笑みを崩す事なく老人に紅茶を差し出した。
    「ブックマン、紅茶どうぞ」
    「………アレーン、悪かったから俺にもほしいさ」
    あからさまなその態度にがっくりとテーブルにへたり込みながら、情けなく青年が声をかけた。
    「ちゃんと食べ終わったら仕事しますか?」
    「アレンが紅茶淹れに来てくれるならね」
    それにやはり宿題をしない子供にでも言うような口調の少年に、クスクスと笑いながら青年は返した。
    「解っていますよ。でもいいんですか、ブックマン」
    甘えるような物言いに心得たように答えながら、少年はちらりと老人を見遣って問いかける。
    「お主の自由だな。これを甘やかす必要はないぞ」
    どうせまた馬鹿な弟子が我が儘を言い出したのだろうと嘆息する老人に、少年は破顔した。老人は青年の事をよく解っていると、柔和に細まる三日月が囁くようだ。
    「あははっ、平気です。なら、ブックマンにも淹れにいきますよ。緑茶がいいですか?」
    ハーブティでも中国茶でも好きなものを食堂で分けてもらえばいい。
    何がいいだろうと笑う少年に老人は頷きながら答えた。
    「手隙なら、頼みたいな」
    「ラビに呼ばれましたし、大丈夫です」
    「ならば楽しみにしておこう」
    小さく笑う老人に、少年は柔らかく瞳を細めて微笑んでいる。
    それが老人の纏う雰囲気すらやわらかく慰撫して包み込み、そこは優しい空間に変わってしまう。
    「………ジジイずりぃさー」
    そんな楽しげな二人の様子に、青年はつまらなそうに見つめながら、むくれた声を落とした。それは小さく低く、少年には届かない音だ。
    が、その小さな声を老人はしっかりと聞き咎め、呆れて嘆息した。
    「うん?どうかしましたか?」
    それに何かあった事を知り、少年も青年に視線を移した。
    「ちゃっかり自分も頼んでるさ」
    ずるいと、青年は子供のように眉を顰めて己の師を横目に見ている。まるで威嚇する小動物のようだ。
    「物のついでじゃないですか」
    青年に呼ばれて赴く自分が、一緒にお茶を振る舞う事のどこがおかしいのか。
    窘めるように告げてみれば、何故かまだ青年はどこか悩むように顔を顰めている。
    「なんか俺のがついでっぽい………」
    「何を子供みたいなこと、いっているんですか」
    呆れたような顔で青年の分の紅茶を差し出せば、流石にバツが悪いのか、彼は困ったように眉を垂らしていた。
    「ん、さんきゅ。………だってアレン、ジジイに懐いてるし」
    知らない事を聞きに来るのも、自分ではなく老人にだ。一緒に食堂に行っても、老人の分を運んだりしているせいで、隣に座る事が多い。
    敬老精神と解っていても、仲睦まじい姿は、なんとなく入り込みづらくてこちらがヤキモキしてしまう。
    「別に普通です」
    「お前の目線で全てを捉えるな、馬鹿者」
    それでもキョトンとした二人は、ほとんど同時に否定の言葉を綴った。
    まるでタイミングを合わせたかのような絶妙さだ。
    「ダブルで息合うし!あー、もう、アレン、仕事終わったら遊び行くさ!」
    むかっとする事自体、おかしいと解っている。それでも、解っていてもどうしようもないものを抱えている青年は、拗ねた子供のように少年を見上げた。
    「え?なんですか、いきなり」
    「ジジイ抜きで遊ぶさ。最近あんま行ってないし」
    旅の最中は意外に多く彼を連れ回した。そうしなくては休息を知らない少年は自身を追い詰めるように身体を動かし続けてしまうのだ。
    今はまだ休息の大切さを多くの人に諭されたお陰で取り入れているが、それも楽しみの為ではない、純粋な肉体の休息だ。
    ………そうではなくて、笑うため、楽しむため、一緒に出掛けようと青年は誘った。
    そんな青年の唐突な誘いは、けれどそう珍しくもない。パチリと目を瞬かせただけですぐに少年は小さく笑んで頷いた。
    「終わったあとならいいですよ」
    仕事さえなければ、青年と遊ぶ事は大歓迎だ。物知りな彼は、少年の知らない色々な事を面白おかしく教えてくれる。
    「んっじゃあ、終わり次第迎えに来るさ。ちゃんと準備して待ってて」
    にっぱりと少年に頷きながら青年は紅茶をすすり、老人が与えるだろう記録のまとめの段取りを考えた。
    その耳に、こそりと小さく少年の声が響く。
    「構わないですよね、ブックマン」
    許可を求める声はどこか幼い甘えを孕んで見えて、やはり師はズルいのだと、青年は胸中で溜め息を落とした。
    「あまり遅くなるなよ。あと、暗い場所は歩かんようにな」
    「解ってます。AKUMAには十分気を付けますから」
    まるで普通の保護者のような事を言う老人に、少年はクスクスと楽しげに笑って返す。
    柔らかく咲く事を覚えた笑みは、旅の当初に比べて格段に鮮やかさを増した。
    それを見つめ、老人は嘆息するように小さく声を落とした。
    「………プラス、狼にもだな」
    「?なんですか?」
    ぼそりと小さな老人の言葉は聞き取れず、少年が目を瞬かせながら首を傾げた。
    「な、なんでもないさ!気を付けろってだけ!」
    ………しっかり聞こえた青年は慌てて首を振った。飲みかけの紅茶を吹き出さなかったのは我ながら褒めたいところだ。
    「エクソシストが二人いて、気を付けるも何もないですけどね」
    AKUMAがいたとしてもひけはとらない。ノアが出るならばまた、それは別だけれど。
    素直に言葉を受け止めた少年に内心苦笑しながら、老人は青年を睨み据えながら呟いた。
    「まあ何かあった時は、こやつは見限って逃げてくるといい」
    「心得ています♪」
    相変わらず仲のいい師弟のやり取りにクスクスと楽しげに笑って、少年は切り分けたケーキを差し出した。
    白桃のコンポートを飾った涼しげなタルト。甘く爽やかな香気が鼻をくすぐる。
    それによく似た少年の笑みに、苦笑するように師弟は視線を交わした。
    ………今この時間だけは、不可侵に。その笑みを翳らさぬようにと、青年は笑み、老人は溜め息を吐いた。

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