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気の向くまま、思うがままの行動記録ですよ。
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    短文連載2

     我が侭太郎な兎の話ですよ(違)
    ………でもあながち間違っていないと思う!

    とりあえず、まだ短文。うん、長くない。
    つい会話文を見ているとその合間に書き込みしたくて手が震えます。押さえて、自分。書き込まなくても伝わる雰囲気を書けるようになろうや!

    …………そっちに関しては玉砕を自覚しているのでご安心ください。
    難しいなぁ、短文(遠い目)





      「アレーン、奇遇さ〜♪」

     角を曲がった先に、見慣れた白い髪が踊っていて、青年は明るい声を響かせた。

     なんとなく今日は朝から忙しくなる予感がして、身支度をするとすぐに自室から出て、気の向くままに歩き回っていたけれど、ようやくその姿を確認出来た。

     「あれ、ラビ、おはようございます。……奇遇も何も、ここ僕の部屋ですよ」

     「ん?だって中にいても会えんし、外にいたって会うとは限らないさ?」

     大体予測して通りかかったとしても、会えない時は会えない。それを知っている青年は機嫌よく会えた事に喜んでいた。

     それに首を傾げながら、少年は目線だけで辺りを見回した。

     確かに、辺りに人はいないし、会う事は珍しいのかもしれない。が、そんな事を気にした事がない少年にはよく解らなかった。

     「……うーん?まあ、そうですね。あ、それよりラビ、ブックマンが探していましたよ?」

     いまいち納得し難そうに眉を悩ませていた少年は、すぐに流してしまい、なかなかつれない態度だ。

     その上、予想外の名を告げられて、浮かぶ筈の苦笑すら消えてしまった。

     「へっ?何でジジイの事アレンが知ってんの?」

     突然の言葉に、青年はキョトンと目を瞬かせてしまう。

     まだ朝も早い。それこそ朝食に時間をかける少年にしてみれば、朝の支度を終えたばかりな時間だろう。そんな時間に何故彼から師の名が出るのだろうか。

     「さっき、ここに来る途中で会いました」

     「………なんか言ってたさ?」

     「記録をまとめさせるそうですから、早く部屋に戻った方がいいですよ?」

     警戒心剥き出しの眼差しに、少年は苦笑しながら先程会った老人の言葉を綴った。

     その言葉に盛大に顔を顰めた青年は、ブルルッと身体を震わせるようにして頭を振った。

     「朝っぱらから?!嫌さ!アレン、匿って!」

     「あ、駄目です。というか、無駄です」

     案の定駄々を捏ねる青年に、少年は仕方無さそうに笑いながら首を振る。………残念ながら、こればかりは匿いようもないのだ。

     そんな返答に目を瞬かせた青年は、不可解な少年の言葉に首を捻った。

     「へ?駄目はまだしも、無駄ってなんさ?」

     「ブックマン、これから来るんです、部屋に」

     あっさりとその理由を答えてみせれば、青年は一瞬だけ、顔を顰めてしまう。

     「なんでジジイが?!」

     つい、想定外の少年の言葉に、声が大きくなってしまった。

     耳に響いたその音に、自分自身でギクリとしてしまう。………失敗した。これでは彼が怯えてしまう。

     「え?いや、あの、ケーキをいただいたので、一緒に食べないかって誘ったんですが……?」

     慌てたような青年の声に、少年は戸惑いを滲ませた眉を垂らして首を傾げた。

     ………何か、まずい事だっただろうか。もしかして老人は隠していただけで、用事があったのかもしれない。

     そんな少年の戸惑いと躊躇いに気付いて、青年は声に滲んだ隠しきれなかった鋭さに、胸中で舌打ちをする。まだまだ未熟なこの喉は、なかなか思うような豊かさを少年に差し出せなくて歯痒かった。

     「なら俺も!いいさ?」

     なんとか声を取り繕い、じゃれるような明るさを響かせれば、きっと浮かぶだろう安堵の笑みを待った。

     ………が、少年はまだ困ったように眉を垂らしたままで、常の柔らかな微笑みが浮かぶ事はなかった。

     何か、まだ自分の声に問題があっただろう。悩みながら、情けなくも彼に答えを求めるように見遣った。

     「あの、僕はいいですが。ラビが嫌でしょう?」

     視線の先、少年が困ったように問いかける。

     それに思わず目を瞬かせた。

     「なんでさ」

     「………ブックマンに見つかりますよ?」

     匿う事など出来ない状況になると、当たり前すぎる事実を少年が示唆する。そんな事も失念して、矛盾を孕んだままねだっても、確かに戸惑いは増すばかりな筈だと、青年は己の失態に苦笑した。

     「……じゃあせめて、ケーキ食べる間は見逃してって、アレンも頼んで?」

     匿う事は不可能だ。ならばと、改めて、ねだる方向を変えて青年は告げる。

     にっこり笑って頼んだ言葉は、あまりに意外だったのか、少年は一瞬きょとんとした顔を晒した。

     「へぇ?!ぼ、僕がですか!?」

     「一緒に!」

     意味に気付いて、そんな我が儘は言えないとその唇が綴る前に、畳み掛けるように声を被せた。

     「………いいっしょ?」

     そのままじっと見つめて頼めば、大抵の事なら彼は陥落してくれる。期待を込めて見遣った視線の先、少年は仕方無さそうに苦笑を浮かべた。

     「構いませんけど、あとで大変なの、ラビですよ?」

     時間がなくなればその分追い詰められる。文句を言いながらもきちんと彼はこなすだろう。けれど、やはり大変な事に変わりはない。

     そう告げる柔らかないたわりの音に、青年は嬉しげに瞳を細めて笑った。

     「なら、紅茶淹れに来て?」

     そうして、つい漏れてしまった声は、随分と甘く響いた気がして、正直焦ってしまう。……が、鈍い少年には解らなかったのか、パチリと瞬いた瞳は不思議そうな光に輝いていた。

     「はい?」

     「記録。まとめてるとさ、食べたり飲んだり忘れるんさ。だから」

     慌てないように、殊更ゆっくりと告げてみれば、また不思議そうに首を傾げられてしまう。

     「僕が、ですか?」

     ………そういう甘えは女性に言えばいいのにと、言外の響きに凹みそうだ。

     伝わらないし伝えていない。彼を責める謂われも資格もない自分が、傷つく権利もある筈はないのだけれど。

     「だって部屋だから。ジジイが文句言わないの、アレンくらいさ」

     苦笑に自身の複雑さ、全て覆い隠させて、青年は拗ねたような声で唇を尖らせた。

     「そんな事ないと思いますけど」

     それに、困ったような少年の顔が返される。

     ………お人好しな彼は、懐いた相手の負担になる事は避けてしまう。特に自分達のような特殊な立場に対して敏感で、本職に関わる事は意図的に一歩退いている事も知っていた。

     「いや?」

     だからその一歩を近づけてと、まだ願う事は出来ないけれど。

     …………一緒にいたいと、いていいと告げるくらいは許されたい。

     「いいえ?鍛練のあとでよければ、ですけど」

     微かな寂しさで告げた声に、少年は慈しみ深く微笑んで、軽く振った首で約束を受け入れた事を教えてくれる。

     「OKさ♪楽しみにしとく」

     そう嬉しげに笑った青年は、ちらり少年の部屋のドアを見遣った。

     その仕草にクスリと笑い、少年はドアを開くと青年を招き入れるように手を差し出した。

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