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気の向くまま、思うがままの行動記録ですよ。
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    FFシリーズは一切触った事はありませんが。

    とりあえず、ついったーで『』っていうハッシュタグでこれどんな願いみんないうんだろうね〜と言っていたら、ほぼ同時に愛知のコギツネと草原さん家の恵ちゃんから『吉田寄越せ!』と『ラグヴァンよろしく☆』といった感じで返されました。

    よ〜し、相変わらずの遠慮のない潔さだな愉快な仲間ども!!!

    そんなわけで書いたんですよ、でゅおでしむ?とやらを。
    キャラ把握は基本恵ちゃん寄り&自分の補強的予測。なので別人である事は自分でも理解している。そもそも本人知らない(待て)
    そんな感じに書き上げられたラグヴァンです。
    支部には小説が1つも投稿されていないカプでしたよ。おかげで勉強出来なかったんだ………!

    そんな残念な作品ですが、暇があればちらりと見てくれるといいですよ、恵ちゃん。






     辺り一面木々に覆われた森のまっただ中。暗くなる前に仲間の元に帰ろうと頑張ってはみたものの、これは無理だと比較的早めに諦めた。背の高い樹ばかりがそびえ立つ森の日没は早く、あっという間に周囲の木々が緑から黒へと変化したためだ。
     それでも帰ろうと思えば帰れるが、そう意気込んだ矢先に少しばかりの戦闘もあって疲れた。呑気なヴァンと方向音痴のラグナは急ぐ理由もないしと野宿を選んだ。
     そうして簡素な野宿の準備をしている中、火を焚いて暖をとっていると、不意に舞い上がる火の粉を追っていたヴァンの眼差しがつぅと中空を過り、空へと向かう。そうしてやっとそれに気付いた、というように目を丸めた。
     それに少しラグナは苦笑する。妙な所で聡いかと思うと、こんな所で当たり前のものを取り零したりもしている。のらくらしていると評される自分にさえどこか掴み所のない、その癖馬鹿みたいに真っ直ぐな少年の、降り注ぐ星空を見上げる横顔を見た。
     彼は惚けたように空を見上げたまま、こちらを気にするでもなくぽつり、呟いた。
     「すげぇ星空だな」
     見たまま、ただそう思い感じた言葉が柔らかく響いた。夜気の中、星明かり程の静謐。それをくるむように響く少年の声。
     そんな彼と、次いで星空とを見上げ、ラグナはクツリと喉奥で笑ってぐっと親指を立てて朗らかな声を静寂(しじま)を崩すように紡いだ。
     「まあ道に迷うのもたまにはいいもんだな!」
     「別に迷わなくても見れたと思うぞ」
     ちょっとばかり盛大に方向を間違えてかなりの遠出になってしまった為、多分明日合流した際の叱責は相当なものだろう。そう理解しているからこそのラグナの発言に、けれどヴァンは不可解そうに彼を見上げてすっぱりと言葉を返す。
     「……そこは頷こうよヴァン君………」
     即答であっさりと否定された上に追い打ちだ。がっくりと肩を落として情けない声を上げてみれば、ヴァンは首を傾げた。不思議そうなその顔は、彼の言葉が嫌味ですらない事を教えて、ラグナは仕方なさそうに眉を垂らして笑う。
     「ま、静かに見れていいけどな」
     それにパチリと瞬くヴァンの瞳が少しだけ嬉しそうに細まり告げると、伸びをするようにし腕を上げて身体を反らし、そのまま夜空を見上げた。………素晴らしい腹筋だと拍手をしたくなる程滑らかな動きに小さくラグナは吹き出した。自分なら、確実に寝っ転がってしまう動作だ。
     それを誤摩化すように焚き火に枝を投げ入れて、褒めろとばかりに得意気に笑って答える。
     「だろ?道草もいいもんだぞ!」
     明るく響くそんな声に、それなら次は迎えにこないぞとあっさりやり込められてラグナはしゅんと謝罪を返した。別にひとりでも最終的には合流する自信はあるけれど、それでもやはり、彼が迎えに来てくれないのは少し寂しい。
     次もお願いしますと手を合わせて戯けるように首を傾げて頼んでみれば、愛好を崩して仕方がないと彼は笑った。きっと、その言葉の通りにまた自分が迷えば彼はふらりと探しにやって来て、正しい道筋を教えてくれる事だろう。
     ………その、眩いまでに揺らがぬ眼差しと同じ足取りで。
     「本当に…降ってきそうだ」
     ぽつり、ヴァンが呟く。呟きとともに頤が持ち上げられ、その睫毛を星明かりが染め、頬を滑るように色を染める。焚き火が負けじと照らすけれど、残念ながらヴァンの瞳を染め上げた星明かりの方が優勢のようだ。
     思い、透けるように染まる肌の色に緩く息を落として、さらりとなんという事もない話の続きのように呟いた。
     「星は死んだ人の魂って言うからな。会いにきたりするかもな」
     流れ星としてこの地上に降り立ち、こんな無為の世界ではなく未来を描く為に生まれた世界があるのだと、あるべき場所に連れ戻そうと祈る誰かの魂がやって来るのかもしれない。
     すぅと眇められた眼差しで星を見上げて呟けば、驚いたように目を丸めたヴァンがぱちぱちと目を瞬かせている。
     「なんだ、ラグナ、会いたい奴いるのか?」
     僅かに弾んで問う声。煌めくように星明かりを映した瞳が、ほんの微かな好奇心に染まっている気がした。
     それに肩を竦め、困ったように笑う。ヴァンの言葉は正しいかもしれないが、残念ながら自分達には正しくない。………否、自分達だからこそ、正しいのだろうか。
     クルクルと巡った言葉を微笑みの中で飲み込み、ラグナは地上に舞い戻り焚き火の色を灯すヴァンの瞳を見つめたまま、首を振った。
     「まさか。記憶ないのにいると思う?」
     「うん」
     からりと笑ってはぐらかす声に、けれどじっとラグナを見据えたままヴァンは頷いた。
     「……ヴァン?」
     「記憶がなくても、焦がれるだろ。それくらい解るよ」
     問うように呼んだ名前には簡素なまでにあっさりと答えが返された。それに苦笑を落とす。相も変わらず遠慮なく、無粋なまでに真っ直ぐだ。
     「………なら、ヴァンも会いたいわけだ?」
     緩く笑い、傾げるように首を揺らす。立てた片膝に腕を乗せ、そこに頬を埋めて眼差しだけで見上げた少年は、いつの間にやら静かに空を見上げていた。
     すらりと伸びた顎から首筋へのラインに星明かりと影で濃い陰影が落ちる。
     「会えるならな。でも、今はいい」
     小さく、喉仏が震えて見えた。……静かな囁きに見合う微かさだ。
     そっと細めた眼差しでそれを見つめ、それを辿るように上方へと滑り、彼が見上げる星空をゆるゆると仰ぎ見る。美しい、満天の星空。けれどそれは木々のフレームの中のささやかな鮮やかさ。
     それでも吐息すら惜しむ程、澄んだ星空だ。不可解にも胸がざわめく。星空を見上げる事に何があると考えても、何か思い当たる筈もない。当然だ。自分達の中に、この世界以前の記憶はない。
     解っていて、けれど渦巻くもやをそっと腹の奥に押さえ込む。………緩く落とした吐息は、感嘆の溜め息に紛れて消えただろうか。
     思い、ちらりと窺った視線の先、思いもかけず自分を見ていた眼差しとかち合い、腕に隠した唇から掠れた呼気を落とした。
     「あのな、ラグナ。真っ白なら真っ白なりに希望があるんだ」
     ひたり、真っ直ぐに自分を見据え、ヴァンが呟く。何を気負うでもなくただ至極当たり前の事のように、まるで世間話のような面持ちで告げる声は軽い。
     それでも、それはひどく緩やかに深く、自分の心を揺り動かした。
     「へ…………?」
     動揺を悟らせないようにヘラリと笑って首を傾げた。唇を隠していてよかった。多分、口元は引き攣っていたに違いない。
     …………それさえも見据えたまま、まっさらな透明の眼差しが自分を射抜き、知らず息を飲んだ。
     「解らないのに悩んで有耶無耶にするより、俺は希望を見てたいなってこと」
     のらりくらり躱しながら静かに笑って戯ける、その根源にあるものなど、彼に解るわけがない。……自分とて、知らないのだから。
     それでも不意に考え込む全てを、まるで見知っているかのように彼の眼差しは踏破する。ただ純然と、疑念もなく誰かを思う眼差しが、揺れる自分の中で月明かりのように静かに道を照らす。
     ………驚きに顔を上げ…息を飲み、目を丸めた。そうしてから晒した表情にしまったと思う。が、それにヴァンは気付かない。………再び空を見上げてしまった彼は、先程は星に気付かなかったように、今度は自分の存在に気付いていないようだった。
     そうして、瞬く事も忘れた視野の中、星明かりに仄かに肌を輝かせ、静かにヴァンは睫毛を落とす。……まるで星の囁きに耳を澄ませるように。
     茶化す言葉も見つからず、ただそれを見つめた。注がれる僅かな光源が風に揺れる木々の影に揺すられて明暗を繰り返す。ただ静かにその明かりを受け止めるヴァンの頬を、星明かりが滑り落ちるようだ。
     まるで、物言わぬ涙のような滴りに、気付かれぬように呼気を飲み込む。
     「そうすれば、みんなだってきっと、会いたい奴に会いに行けるんだ」
     そう呟き、そっと伏せられていた眼差しが夜空を映す。人の魂が見下ろすと例えたのは自分だというのに、その星明かりに染まる横顔に、知らず顔を顰めてしまう。
     無意識に伸ばした腕が、ヴァンの肩を掴んでいた。それにきょとんと瞬く大きな瞳。そこに映る、しかめっ面の自分。………同時に微かにヴァンの身体が強張った事を乗せた手のひらで気付く。
     らしくないと緩く息を吐き出せば、パチリと瞬いた眼差しが怯えも逸らされもせずに注がれる。……まるで、今身を包む星明かりのようにただ静かに。
     「ラグナ?」
     呟かれた自分の名がどこか遠い。それに苦笑して、肩に置いた手のひらを滑らせると、二の腕を掴みそのまま引き寄せた。
     丸まる猫のように腕の中、ヴァンを抱え込む。降り注ぐ星明かりから隠すように。
     「………足、ツッた。から…ちょっとだけ、支えてくんない?」
     小さな言い訳の声を紡ぎながら、ゆるり彼の頬に擦り寄る。抵抗はなく、腕の中、静かに彼は収まっていた。
     暫しの、沈黙。さざめくように木々の声が谺する。そよ風でも吹いているのだろうか。そんな事をぽつり思いながら、痛くもない足を庇うようにしてヴァンを倒した片膝に乗せた。
     そうして彼の肩に顔を埋める。本当は彼の顔を胸に納めてしまいたかったけれど、そうする為の言い訳が思いつかなかった。
     「…………、まあ、いいけどな」
     溜め息のように呟いて、ヴァンは静かに甘える大人の背を撫でた。
     それを夜気を啜るように吸い込む吐息で受け入れ、ラグナは睫毛を伏せる。………唇が触れる肩の、布越しのぬくもり。確かに生きてここにいる証。
     瞬く星が、そっと二人を見下ろした。ギュッと、知らず腕の力を強めてしまう。馬鹿馬鹿しい物思いだ。星明かりを浴びたからといって、同じように夜空高くに帰るわけでもあるまい。解っていて、けれどこの魂ならばあっさりと還る気がして腕を放せなかった。
     ………躊躇いなく歩む足取りを知っている。迷いもせずに進む一歩を、どこか憧憬じみた思いで見つめている。
     自分は彼のような、あんなにも鮮やかな足取りでは進めない。思い悩みふらふらと、怒濤のように迫りくる全てを躱し逸らし、臆病に一歩を歩む。
     その先を、光を浴びて進む背中。矛盾を矛盾と思わず、未来への希望を疑わずに笑う気高さを、若さ故の無謀だなどと思える筈がない。
     だから、一層怖くなる。星明かりが彼を包む。仄明るく彼を照らす。………そこに自分のいる場所はない。
     彼の中、消えてしまったままの記憶。思い出せる筈もない意図的な忘却は、それでも決して自分達を解放する事はないのだ。
     染みるように、人は記憶する。心だけでなく、仕草、味覚、選ぶ道程。身体にすら、記憶は刻まれている。まっさらな記憶しかない自分達が、それでも個々に違う意志を持ち歩むそれこそが、その証明だ。
     ………だからきっと、と、戦慄く唇を噛み締める事を厭い、ラグナは緩く吐く吐息とともに、唇をヴァンの肩に押し付けた。
     訝し気に背を撫でる手が止まる。小さく、名を呼ばれた気がした。けれど気付かなかった振りをして、答えない。


     迷うのは重ねた時故か、自分という個故か、解りはしない。
     それでも、迷う強さと同じ程に願う、この静かな灯火。


     記憶にもない誰かを夢見る横顔を脳裏に描き、顰められる眉。
     …………顔を上げずにいられるこの一時だけ、愚かな悋気を小さく吐き出す。
     告げもしないまま、それでもどうか、この腕の中、守られてくれればいいのに。
     そんな大人しいわけがないと、屈託なく笑って先を歩く背中を瞼に映し、仕方なく静かにその唇は微笑んだ。


     星明かりは燦々と、けれど静かに木々に遮られ、二人に注ぐ。
     ……………眠ったらしい男の背を、守るように少年はそっと抱き締めた。



     その明かりの先にいる、彼が求める魂に小さな謝意を囁きながら………………

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