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見上げた空はどこか遠く、高く澄んで薄い水色をたたえていた。
軽く息を吐き、肩に乗る聖霊を支える。今の木枯らしで舞い上がった葉っぱを掴もうとジャンプした彼は、そのまま危うく肩を滑って地面にダイブする所だった。
落ちる最中、盛大な鳴き声を上げながらもきちんとキャッチすれば、文句を言うような声が消えて、さして広くもない手のひらの上に悠々と座り込んだ。
………彼にとって、この小さな手のひらは居心地のいい場所らしい。
この広くもない肩も、彼のお気に入りの場所だ。言葉など交わせはしないけれど、その程度の事は知っている。
それに小さく笑い、ギュムッと手のひらの中、安穏とした風に寛いでいる自分の聖霊の頬をくすぐるように手のひらを握り締めた。
それは痛みを与える行為ではなく、彼とともに戦う時の仕草。
彼とともに歩む事を決めたあの日から、この手にその身を寄り添わせた彼と目指す先を決めた時から、繰り返される仕草。
GCなどというものを知識で知っていても、認識などしていなかったのに。
聖霊など、区別がつかないくらい、興味が無かったのに。
あれからまだ一年も経たないこの短い時間の中で、彼はもうとっくに自分にとってパートナーになってしまった。
…………結局、きっと、自分は。
手の伸ばせる所にある温もり、とか。
声を掛ければ返される音、とか。
視線の先に必ずある眼差し、とか。
ずっと一緒、とか。
そうしたものにずっとずっと飢えていて、飢えていた事すら知らない振りを決め込んでいたのだろう。
この小さくてちっぽけな、自分と同じくらい我が侭で尊大なピンクの丸い物体を見ていると、そんな事を思う。
手の中の体温。………見上げてくる眼差しがどこか疑問を孕んでいて、自分が知らず笑んでいた事を知る。
それを誤摩化すように逆さの手で彼を軽く弾き、盛大な抗議の鳴き声を上げさせた。
「黙れ、うるさい。貴様がくだらん事をして落ちかけたのが悪いんだろうが。主人に世話を焼かすとはけしからん」
憎まれ口も、どこか甘い。兄弟に告げるような甘えた響き。許される事を確信している響き。
絆されたのがどちらか、なんて。
解らない、けれど。
それでもきっと永遠に、この手の中に彼はいる。